応用哲学会第7回年次研究大会サテライト研究会「論数哲2015」 

この度、応用哲学会第7回年次研究大会サテライト研究会「論数哲2015」を、下記の要領で開催する運びとなりました。

皆様のご参加をお待ちしています。

日時:4月24日(金)13:00-17:50

場所:東北大学文学部135教室(以下地図C13の建物) http://www.tohoku.ac.jp/japanese/profile/campus/01/kawauchi/areac.html

【ご注意】建物北側が道路工事のため入り口封鎖となります。 南側からお入りくださりますようお願いします。

【講演者】

矢田部俊介

藤川直也

五十嵐涼介

鈴木佑京

山森真衣子

川居 慧士

* 終了後には懇親会を予定しています。

【プログラムと発表要旨】

矢田部俊介 13:00-14:00

タイトル:真理は論理結語子と見なしうるか

要旨:真理概念は、通常は述語で表現される。しかし、フリードマン・シェアーの真理理論 FS では、真理述語は導入規則と除去規則を持ち、まるで論理結合子であるかのようにも見える。それでは(哲学的議論は抜きにして)真理を論理結合子として扱うことは、形式的には可能なのだろうか?実は、FS のような真理理論は ω-矛盾であり、証明の正規化可能性が壊れるため、それらの理論では論理結合子が満たすべき性質である「ハーモニー」が成り立たず、論理結合子としてみなすことができない。これは、ω矛盾性も証明の正規化不可能性も、同じ原因、すなわち潜在無限的(余帰納的)な論理式が定義可能であることに起因する。本発表では、これらの理由を概観すると共に、どうすれば余帰納的論理式へハーモニー概念が拡張できるかを検討する。

藤川直也  14:00-15:00

タイトル:志向的対象の同一性

要旨:太郎が一頭のユニコーンについて考えたとしよう。花子も一頭のユニコーンについて考えたとしよう。彼らの思考は同じユニコーンについてのものであることもあれば、別のユニコーンについてのものであることもあるだろう。言い換えれば、太郎の思考の対象が花子の思考の対象と同一である場合もあれば、そうでない場合もあるだろう。ではどのような場合に彼らの思考の対象は同一なのだろうか。ある思考の対象が別の思考の対象と同一であるための基準を、志向的対象の同一性の基準と呼ぶことにしよう。この発表では、まず、マイノング主義に基づいた志向的対象の同一性の基準を素描する。この見解によれば、志向的対象の同一性は、それを対象とする思考(やその他の心的状態)とは独立に定まる。次に、この見解が、どの対象がある思考の対象なのかを決定できないという問題と、志向的対象がもつ性質に関して複数の主体間で生じうる意見の相違をうまく説明できないという問題を抱えるということを指摘する。さらに、こうした問題を回避する一つの方法として、志向的対象を主体の心的状態・作用に依存した対象とみなし、志向的対象の同一性を、そうした心的状態・作用の間の協調(coordination)関係によって定義するMoltmannの見解を検討する。

五十嵐涼介 15:00-16:00

タイトル:Logic of Paradox and Falsity Constant

The aim of this paper is to investigate some of the features of negation and a falsity constant (usually denoted by ⊥) in the framework of Logic of Paradox (LP), and to clarify their relation to Boolean negation, through the following examination: LP is lacking in reductio ad absurdum and disjunctive syllogism. These rules are very natural, so I will try to incorporate them into the framework of LP in a restricted way. Firstly, I will consider some sets of propositions that the rules can be applied to. Secondly, I will introduce a triadic relation between premises, anti-premises, and a conclusion.

鈴木佑京 16:00-16:45

タイトル:反証主義と双側面説

要旨:証明論的意味論(PTS)の基本的発想は、1)自然演繹における導入則を、論理定項の意味を説明する原理とみなし、2)除去則と導入則の間に”調和”と呼ばれる関係が成立していることをもって、除去則を正当化する、というものである。PTSの中心的論者であるダメットやプラヴィッツによれば、このような枠組みにおいては、古典論理を正当化することはできない。だが、イアン・ラムフィットは、主張行為だけでなく否認行為もまた意味の決定に関わるとする双側面説の考え方を前提すれば、古典論理を含む体系を正当化できると論じた。以下、この体系を体系Rと呼ぶ。

この発表では、ラムフィットが体系Rに与えた正当化を批判し、オルタナティブな正当化を提示することを目標とする。体系Rは帰謬法と呼ばれる規則を含んでいるが、これは双側面説の考え方に則って正当化することができない。そこでわれわれは、体系Eという別の体系を提案する。体系Eは、双側面説に加えて、反証主義という別の前提を加えて正当化できる。EはRをその内部に含んでいるため、Rに対してオルタナティブな正当化を与えたことになる。

山森真衣子 16:45-17:15

タイトル:中国思想の中の数学的構造

要旨:中国思想では、宇宙の根本をその本質が明らかにされないものとして考えることが、そしてそれについての分析を意識的に停止することが散見される。言語は真理を探求するには不十分であるという考えが中国思想の中にあることもその一因であると言われている。しかしながら、それらの思想の枠組みは数学的構造として解釈することが可能であることも多い。それについては Leibnizを始めとして様々な哲学者らが主張してきた。本発表では、どのような中国思想がどのような構造を持つと解釈することができるのかを検討する。

川居 慧士  17:15-17:45

タイトル:ω矛盾した真理理論は何故拒絶されるのか―Fieldの示唆

要旨:真理理論についての哲学的議論において、ω矛盾した理論はしばしば不適切な理論として扱われてきた。しかし、そのような真理理論の具体例を提示したMcGeeの1985年の論文をはじめとして、我々がなぜω矛盾した真理理論を排除すべきであるのかという点については、その説明が十分にされてきたとは言いがたい状況にある。FieldがSaving Truth From Paradoxにおいて示唆した説明は,数少ない例外であるといえよう.

本発表では,幾人かの論者によってすでに指摘されてきた,数学的側面と構文論的側面という算術理論の二面性を念頭に置いた上で,Fieldが示唆した説明が構文論に課す制約がさらなる議論の余地を残すものであることを,McGeeの定理の道具立てを参考にしつつ論じる予定である.加えて,ω矛盾した真理理論を拒否するための議論の一つが存在論の方法論に影響を与えうるものであることを論じたい.